December. 24. 2010

落語とジュエリーを結ぶもの

テレビで「クリスマス寒波」なんて言葉を初めて聞きましたが、
また年末にかけて、一層冷え込むようですね。

さて暮れが近づくと「ハレ」の気分が高まるせいか、
妙に落語を聞きたくなります。

そんな折、まったく良いタイミングで、
よみうりホールでの立川談春独演会というのがあり、
運よくチケットを手に入れることができたので、家族で行ってきました。

立川談春は、談志率いる立川一門では志の輔に次ぐポジションで、
特に古典の噺手として定評があり、
今最もチケットが手に入りにくい噺家のひとりと言われています。

今回の演目は、酒の席での喧嘩を面白く描いた「棒鱈」と、
暮れの江戸っ子人情話として人気のある「文七元結」でした。

まず、枕で海老蔵問題を取り上げ、
本来ああいった騒動は歌舞伎役者じゃなくて落語家がおこさなくちゃいけない、
むしろやられた感がある、なんて話で笑いを取りながら、
スムーズに「棒鱈」に入っていきました。

粋な都都逸や長唄が盛り込まれたこのネタは、
聞いているだけで自分が江戸っ子になった気がしてきます。


そして15分間の休憩をはさんでの、大ネタ「文七元結」。
実は私は一昨年も同じよみうりホールでこの演目を鑑賞したのですが、
その時も大変感動したはずなのに、今回さらに芸に磨きがかって
遥かな進化を遂げていたので、正直、驚いてしまいました。

特に左官屋の親方が、文七を諌めるところ。
親子とは何か、仕事とは何か、あるいは生きるとはなにか。
そんなことを自身にも問われているような気がしました。

ストーリー自体の感動もさることながら、
談春師匠の熱演、その自らの芸を極めんとする気迫に、心を動かされてしまいました。


落語はテレビのお笑いと異なり、
同じ内容(ストーリー)を何百年も続けているわけです。
赤いじゅうたんの上で1分間で笑いを取るわけではありません。

そんな古びてもおかしくないはずの噺なのに
不思議と現代の我々の心を打つ。

なぜ、そんなことがおこるのか。

そこには人間の変わらない営みや悲喜劇の本質が
しっかりと練りこまれているからだと思います。

そして常に芸を良くしようとする噺手のたゆまぬ努力。
現代人の心に少しでも強く共感を呼びかけるためのこまやかな調整。

そういったことの積み重ねが、百年以上前の江戸の話を
2010年の東京で不自然さを感じさせないのでしょう。

「普遍へとチューニングし続けること」

ジュエリーにも当てはまるコンセプトだと思います。


会が終演して外に出るとひんやりと心地よい外気で、
江戸の町から現世の銀座へと戻ってくる感覚がありました。

お正月に向かって徐々に気温は下がり、
同時に空気がどことなく透明に澄んでいくようなこの時期が、
なんとも言えず好きです。

01.jpgのサムネール画像
December. 2. 2010

【下町巡りシリーズその1】カキモリ 蔵前

普段仕事のことばかり書いているので、
今回は少し趣向を変えて、当社がある台東区周辺で私が好きなお店を紹介しようと思います。

第一弾は最近蔵前にオープンした「カキモリ」。
「楽しく書く人。」というタグラインの通り、筆記具を中心とした文房具を取り扱っています。
それだけだと最近よくあるオシャレ雑貨兼文房具ショップかなと思いがちですが、
そのこだわり様は、他のどの文具屋とも違います。

店内の筆記用具のセレクションが厳選されたものであることはもちろん、
最大のポイントは自分でオリジナルのノートや便箋がつくれる蔵前紙工房。

表紙はもちろんのこと、中の紙やリング、留めるパーツなども自分で選んで作れます。
さっそく選んでつくってみました。

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サイズはA4とそのハーフサイズ(A5)の2種類が選べます。

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表紙と裏表紙で色も変えられます。
タイムリーな感じで「ノルウェイの森」カラーにしてみました。

また店内の万年筆やボールペンは、すべてこのノートに使用した紙に試し書きすることが可能で、
まさに自分にあった一冊と一本を揃えることができるのです。

店内は明るくて、センスがよくてとても居心地がよいし、
接客してくれた女性スタッフも大変感じの良い方でした。

文房具にこだわるというと、ともすればデザインや外観に走りがちですが、
紙と筆記具の相性を追求する姿勢が素晴らしいと思いました。

これで仕事がはかどれば言うことなし!


楽しく書く人。 カキモリ

東京都台東区蔵前4-20-12 地図



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